仮想通貨

(記事記載日:平成29年5月10日)

(保険部分追記、及び、当ブログ掲載日:平成29年6月2日)

【仮想通貨とは】
ビットコインなど、日本でもかなり知名度が高まってきておりますが、仮想通貨と言われるものが発達してきました。これは、国家が発行する法定通貨とは異な るが、バーチャルな中で利用され経済的価値を有して通用している通貨です。その内容は仕組み、経済的価値の度合いなどはいろいろですが、もはや無視できな い存在となりました。
日本では、これまで、貴金属に属するものとされ、のちに通貨でも物でもない価値をもつ電磁的記録という意味で「価値記録」 と分類されたり、扱いが不透明でした。そこで、金融庁は資金決済法改正して「仮想通貨」とすることにし、仮想通貨の交換業を登録制としました。平成29年 4月1日から施行されています。また、あわせて、消費者保護、マネーロンダリング対策を行うことにしました。

【背景】
ビットコインなど、様々な電子的な財産的価値を有するサービスが登場してきました。インターネットを通じで、財産的価値のやりとりをすることは、 便利な一方、今までは日本で規制らしい規制がなく、価値の暴落、あるいは取扱う会社が破綻してしまった際に被害を被る消費者の保護はなされていませんでし た。そんな中で起きたマウントゴックスの事件は、みなさまの記憶に残っていることと思います。ビットコインを取り扱うマウントゴックスが破綻し、ビットコ イン114億円が消失してしまうという事件です。

また、規制の厳しい金融機関を通さずに手軽に送金できる手段であることから、マネーロンダリングとして利用される可能性が高いのではと危惧する声もでてきました。

そこで、交換業者を登録制にした上で、消費者保護のための手続きや、マネーロンダリングを防止するための本人確認の義務づけなどを行うことにしたのです。

【今回の法令等の改正について】
■資金決済法の改正(以下「改正資金決済法」といいます)
 ◎仮想通貨の定義 (改正資金決済法第2条5項)
仮想通貨の定義は分かりやすく言えば以下の通りです。(改正資金決済法第2条第5項1号、2号)
①不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できる。
②電子的に記録され、移転できる
③法定通貨又は法定通貨建の資産(プリペイドカード等)ではない

◎仮想通貨交換業者の登録制
そして、仮想通貨と法定通貨、又は仮想通貨同士の交換や、交換に際して利用者の金銭・仮想通貨を管理する業務を行う仮想通貨交換業者は登録制となりました。(改正資金決済法63条の2)
施行日から6ヶ月以内に登録が必要です。無登録で仮想通貨交換業を行ったものは「3年以下の懲役もしくは300万縁以下の罰金に処し、またはこれを併科する」となりました。(改正資金決済法107条2号、5号)

◎利用者保護のためのルール
取り扱う仮想通貨の名称や仕組みの説明、仮想通貨の特性、手数料等の契約内容など、適切な情報提供をすること(改正資金決済法第63条の10、 内閣府令第16条〜19条)、また、利用者から預かった金銭や仮想通貨と、事業者自身の金銭・仮想通貨を明確に区分して管理すること(改正資金決済法第 63条の11及び内閣府例第20条)が義務づけられております。

■犯罪による収益の移転の防止に関する法律(以下「犯収法」といいます)
 ◎特定事業者への追加
仮想通貨交換事業者が、犯収法の特定事業者に追加されました(犯収法2条2項31号)。
◎義務づけられたこと
仮想通貨交換業者は、特定事業者として、以下の義務をおいます。
(1)口座開設時、200万円を超える大口現金取引等の取引時の本人確認等の義務(同法4条)
(2)確認記録・取引記録等の作成・保存義務(同法6条、7条)
(3)疑わしい取引の届出義務(同法8条)
(4)社内管理体制の整備(従業員の教育、統括管理者の選任、リスク評価書の作成、監査等)(同11条)

■情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律(平成28年法62号)附則
 (資金決済に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
平成29年4月1日より前に、現に仮想通貨交換業を行なっていた者は、平成29年4月1日から起算して6ヶ月は当該仮想通貨交換業を行うことが できるとされております。また、期間内も登録の申請を行い、登録または拒否の処分があるまでの間も同様に交換業を行うことができるとされております。

■その他
その他詳細については、以下に定められております。
・仮想通貨交換業者に関する内閣府令(以下「内閣府令」という)
・事務ガイドライン(仮想通貨交換業者関係)

■貸金業法について
なお、事務ガイドラインによると、貸金業法が適用されるとあります。仮想通貨の信用取引をする場合には、現金を貸し付けて仮想通貨を購入することになるからと思われます。

【仮想通貨交換業の登録について】
■対象
  以下の行為を「業として」行う場合は登録が必要となります(改正資金決済法2条の7、7条、63条の2)。「対公衆性」のある行為で「反復継続性」を もって行う仮想通貨の売買・交換等をいうものです。なお、該当するかどうかの判断は、個別事例ごとに実態に即して実質的に判断されるべきとされておりま す。登録された業者は、公開されることになります。

①仮想通貨の売買または他の仮想通貨との交換
利用者がビットコインを購入したり、他の仮想通貨と交換したりが該当します。
②①に掲げる行為の媒介、取次または代理は顧客の注文を受けて売り注文や買い注文を行う場合です。
媒介は、顧客と顧客の売買のマッチング、取次や代理は
③①・②に掲げる行為に関して、利用者の金銭または仮想通貨の管理をすること。
仮想通貨や、購入代金、売却代金を管理する場合が該当します。

■登録時の提出書類(規則7条)
登録時には、次のような書類が必要である。
(1)法63錠の5第1項各号(登録拒否事由)に該当しない旨の誓約書
(2)取締役等の住民票の正本
(3)取締役が旧姓を使用している場合の書面
(4)取締役等が成年後見、破産手続き中でない旨の証明書(無犯罪証明書は要件ではない、なお、禁固以上の計に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行猶予の終了後、5年を経過していない者は取締役として不適格)
(5)取締役の履歴書
(6)株主名簿(上位20名)、定款、登記事項証明書
(7)外国仮想通貨交換業者の場合には、外国での登録等を証する書面
(8)最終の賃借対照表、損益計算書
(9)会計監査人設置会社の場合、会計監査報告書
(10)事業開始後3事業年度の仮想通貨交換業に関する収支見込
(11)取り扱う仮想通貨の概要
(12)仮想通貨交換業に関する組織図(内部管理に関する業務を行う組織を含む)
(13)仮想通貨交換業に関する社内規則
(14)仮想通貨交換業に使用する社内規則
(15)仮想通貨交換取引に使用する契約書類
(16)仮想通貨交換業務紛争解決機関が存在する場合には、その業の名称、いない場合には苦情解決措置及び紛争解決措置の内容
(17)指定仮想通貨交換業務紛争解決機関が存在する場合には、その業の名称、いない場合には苦情解決措置及び紛争解決措置の内容
(18)その他、参考事項

■登録拒否事由
(1)株式会社または外国仮想通貨交換業者(国内に営業所を有する外国会社に限る)でないもの
→合同会社や個人事業主ではだめ
(2)外国仮想通貨交換業にあっては、国内における代表者(国内に住所を有するものに限る。)のない法人
(3)「仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行するために必要と認められる内閣府令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない法人」(改正資金決済法63条の5第1項3号、内閣府令9条)<財務規制>
①1000万円の最低資本金要件
②純資産額がマイナスではないという要件
※ 公認会計士・監査法人による外部監査実施が義務付け

■外国業者
日本国内にある者に対して、仮想通貨交換業の勧誘をするには、「仮想通貨交換業者」の登録が必要です(改正資金決済法第63条の22)。日本国内に株式会社を設立しなくても、国内に営業所と代表者をおくことによって登録を行うことができる。

■行為規制
①名義貸しの禁止(資金決済法第63条の7)
②情報の安全管理(同第63条の8)
③委託先に対する指導(同63条の9)
④利用者の保護等に関する措置(誤認防止等のための説明・情報提供義務)(同63条の10)
その際に説明すべき方法が詳細に定められおります。(内閣府令16条2項、17条1項、ガイドライン等)
⑤利用者財産の管理義務(同63条の11)
⑥指定仮想通貨交換業紛争解決機関との契約締結義務等(同63条の12)

【税金上の扱い】
税金については専門ではありませんが、従来はモノとして、消費税の対象となるとされていたようですが、通貨となることで課税対象ではなくなる方向のようです。ただし、売却等に伴う利益については課税されないという趣旨ではないようです。

※追記部分
【補償サービス】
平成29年6月1日付の日本経済新聞に掲載がありましたが、国内大手の仮想通貨取引所ビットフライヤーとコインチェックではビットフライヤーは三井住友海上火災保険と、コインチェックは東京海上日動火災保険と連携して、個人のIDやパスワードなど、第三者に悪用されて引き出された場合の補償を国内では6月から始めるそうです。セキュリティに設定方法や通貨の種類にもよるようですが、不正ログインを仮想通貨を日本円で出金されて、警察による被害調査を経たものを補償するらしいです。仮想通貨をめぐる動きは、いろいろと続きそうですね。

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