お金の話

平成31年2月16日(担当:行政書士小坂谷麻子)

本日はお金の話です。キャッシュレスという言葉はみなさんもよく聞いていると思いますが、お金をめぐって、いろいろと仕組みや制度が大きく変わろうとしております。支払い方法で思いつくだけでも、現金、デビットカード、プリペイドカード、チャージ式、ポイント支払い、仮想通貨など、いろいろあります。

私の個人的印象ではありますが、私が社会人になるころには、クレジットカードを使うか、現金主義だからカードは使いたくないなどという友人もかなりおり、通常の支払いは現金かクレジット、不動産や自動車などの高額商品はローンを組んだり、それ以外のお金のやりとりは銀行送金が一般的という時代が続いておりました。

デビットカードも何度か利用した気もしますが、結局日常的に利用するにはいたりませんでした。

そんななか、仮想通貨やフィンテックの広まり、キャッシュレス化の動きの中で、新しいサービスも次々と生まれてきており、制度も目まぐるしく変わってきております。そして、新しい事業者が、フィンテックの分野に参入してきております。どのような動きがあったのか、少しずつ整理をしていきたいと思います。

◆フィンテックとは

フィンテックとは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を結びつけた革新的な動きのことを言います。世界的に様々な金融サービスが進展する中で、日本も利用者保護や不正防止を確保しつつ、イノベーションや利用者利便性や生産性の向上をはかるために、取り組みを行なっております。

◆決済サービス

○銀行業<銀行法2条2項、4条1項・47条1項、免許>

○銀行代理業<銀行法2条14項、52条36項、許可>

○プリペイドカード・電子マネー(前払式支払手段発行業)<資金決済法2条1項、3条、登録>

○クレジットカード(包括信用購入あっせん業)<割賦販売法32条、登録>

○資金移動業<資金決済法2条2 項、37条、登録>

銀行等以外のものが100万円に相当する額以下の為替取引を業として営むこととをいいます。資金移動業を営むには、資金決済に関する法律に基づき、事前に内閣総理大臣の登録を受けなければなりません。(銀行法第4条)。 詳細は、改めて記載します。

○電子決済代行業<銀行法2条17項、52条の61 の2、登録>

平成30年6月から始まった新しい制度です。例えば、国内で、ITを活用して、預金口座の残高を銀行から取得したり、利用履歴を集計する家計簿作成のサービスや、複数の振込先へ銀行振込依頼をワンクリックで行うことができるサービスなどを行う際に、電子決済等代行業者として財務局の登録が必要となります。詳細は改めて記載します。なお、一定の場合、銀行代理業にも該当するのではとの疑義もあったことから、どのようなケースが銀行代理業にあたるのかなど、ガイドラインに示されています。

◆融資サービス

○貸金業<貸金業法3条1項、登録>

 

◆仮想通貨

○仮想通貨交換業<資金決済法2条7項、63条の2、登録>

こちらについては、すでに別にページで説明をしておりますので、そちらをご覧ください。 こちらです。

登録以降、コインの流出や盗難などもあり、交換業者に求められる体制も厳しくなってきております。また、仮想通貨とういう名称の変更等も含めて、変更などもありそうですので、別の機会にお伝えしたいと思います。

◆オープンAPI

これらの新しいサービスに不可欠なものは、オープンAPI(Application Programming Interface)と言われるもので、他の事業者等とのオープンネットワーク上でのセキュアなデータ連携を可能とする技術です。わかりやすく言えば、他のサービスと銀行が連携をするための情報の受け渡しの窓口です。

たとえば、インターネットで取引履歴を預金者が確認するためには、本人しか知り得ないパスワード等を利用して、データにアクセスし、履歴のみならず、送金をしたり、各種登録をしたりします。ある家計簿サービスが、銀行の履歴を自動取得したいと考えたときに、もし本人のパスワードを預かったりするのであれば、無断送金等のリスクが高まり、セキュリティからも好ましくありません。そこで、どの範囲の情報を金融機関から取得するかを明確にした上で、必要なデータをセキュアに受け渡しできるように、銀行側もオープンAPIを整備する必要があるのです。

一般社団法人全国銀行協会が事務局となって、「オープンAPIのあり方に関する検討報告書=オープン・イノベーションの活性化に向けてー」という報告書を作成しております。その中に、技術仕様の点や、不正アクセス対策等について取り上げられております。技術的な内容については、私は全くわかりませんが、どんなことが問題になっているのかを概観することは、このAPIを利用したサービスを行いたい事業者さんにとっても有益ではないでしょうか。

オープンAPIは、何もフィンテックなどの金融の分野に止まらず、流通小売業、サービス業等の多くにのITベンチャーにとっても不可欠の仕組みになっていくでしょう。今後、注目をしたい分野です。

◆参考資料

○金融庁「フィンテックに関する現状と金融庁における取り組み」(平成29年2月)

○一般社団法人全国銀行協会が事務局「オープンAPIのあり方に関する検討報告書=オープン・イノベーションの活性化に向けてー」(2017年7月13日)

 

 

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