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情報処理学会 DICOMO2017

(記載日)平成29年7月3日  (担当)弁護士 小坂谷聡

2017年6月28日(水)から30日(金)までの3日間、札幌・定山渓で開催された情報処理学会・マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2017)シンポジウムに参加し、「刑事手続におけるデジタル証拠の改ざん防止措置について」と題した論文についての研究発表を行いました。

 

 

このDICOMOというのは、主に情報科学関連の分野の研究者・学生等が参加するいわゆる理系の学会です。去年の4月から立命館大学大学院博士後期課程に進学し、デジタルフォレンジックや情報セキュリティ関係について研究を始め1年が経っているとは言え、何分にも文系法学部出身の弁護士にとっては、簡単に攻略できるような代物ではありませんでした!

 

ところで、近年、裁判実務においても画像や音声データなどデジタル証拠の重要性が増していますが、デジタル証拠というものは改ざん・改変が容易でありながら、一般的にその信頼性は高く、一旦改ざんされてしまえば誤判を招きかねない危険な証拠でもあります。今回の研究発表は、このデジタル証拠の改ざんを防止するという点に焦点を当てたものです。具体的には、まず、改ざんが如何に容易にできるかという点について被験者による実証実験を行い、また、デジタル証拠が裁判実務においてどのように扱われているかを概観した上で、改ざん防止の観点から、デジタル証拠の改ざんの有無を客観的に確認できるシステムとして、ハッシュ値保存システムの構築について考察を加えました。

今回の研究は、システムについての提案についてのみであって実装にまでは至っておりませんが、今後、さらに研究を発展させていきたいと考えています。